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先月に引き続き、今号も「あみもの」テーマです。
林ことみ先生から「ノルディック・ニッティング・シンポジウム」についてのご寄稿をいただきました。
シンポジウムに参加した方もされなかった方にも興味深い内容です。

8月末には手芸店さんの店頭にこの秋冬の毛糸が並びます。
クロバーの新製品の糸も発売されています!あみもの雑誌や作品集もどんどん出版されます。
今年も熱くて濃いあみものライフを送りましょう〜♪


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特別寄稿「ノルディック・ニッティング・シンポジウム in Japan 開催裏話」林ことみ

ニット(knit)という言葉には編むという意味以外につなぐという意味もあります。正にこの言葉通り今年のノルディックニッティングシンポジウム は私(林ことみ)が今まで色々な人とつながって来た結果であり、そしてこれからもつながって行くという成果を得ることができました。

私が2000年の第1回目のシンポジウムに偶然参加できたという幸運がなければ今年の日本開催も無かったのではないかと思うと、この幸運には感謝!の一言しかありません。「初めての時はイエスとノーしか言えなかったわよね」と去年、最初からの参加者にからかわれたくらいの語学力だった私がその後も毎年参加して来たのはニットという共通言語があったからです。第1回目に習ったドミノ編みはその楽しさに惹かれ、帰国後すぐに本を企画。「ヴィヴィアンの楽しいドミノ編み」として出版することになり、その初稿紙を持って2回目のシンポジウムに参加し、エストニアの動物ニットを作っている二人のアヌーに出会いました。この年にはビーズを編み込んだリストウォーマーという素敵なアイテムも習い、これは「ビーズニッティング」という本になりました。

2001年ノルウェー

2001年ノルウェー

   
2003年スウェーデン

2003年スウェーデン

 
シンポジウムがきっかけで生まれた本。この後着実に点数が増えて北欧ニットの本が大人気に!(文化出版局)

シンポジウムがきっかけで生まれた本。この後着実に点数が増えて北欧ニットの本が大人気に!
(文化出版局)

 

このようにワクワクするようなニットに出会うことが魅力で、毎年参加しているうちに、参加者達が「日本でシンポジウムをするときはあなたが幹事をするのよ」と言っていた冗談が2005年のエストニアで「Gavstrik(デンマークニット協会でシンポジウムの主催者) は2009年に日本でシンポジウムを開催したいと思っている、あなたは私達の大事な仲間なのよ」と嬉しい具体的な話となりました。2006年のアイスランドで開催の確認をして、その際に、日本人参加者も募りたいという話をしたところキリヤ(Gavstrik代表)も快諾をしてくれました。エストニアでもアイスランドでも開催国の参加者がほとんどいなかったことが気になっていたのですがこれで解決。

2005年エストニア

2005年エストニア

 

2007年のフィンランドヨエンスーでのシンポジウムで、参加者達に2009年は日本で開催されることが発表されました。主催者の予定では少なくとも60人は参加するのではないかということでしたので帰国後に開催期日を決め、ホテルの手配をしました。その頃にはヴィヴィアンから紹介されて私の本のプロセス原稿の英訳をしてくれていたアメリカ在住の野中真理子さんに開催準備に加わってもらいたいと思い、時折メールで日本開催のシンポジウムの話をしていました。彼女はアメリカでいくつものニットの賞をもらい、しかもニットギルドの一員なので会のイヴェント等の経験が豊富。予想通り強力な共同開催者になってくれました。

2008年ノルウェー、セルブミトンのミュージアム

2008年ノルウェー、セルブミトンのミュージアム

 

2008年のトロンハイムで開催期日を発表したところ、期日を早めて欲しいという声が上がり、帰国後大慌てで案の練り直しとなりました。開催地も私の最初の案では東京だけを考えていたのですが主催者側から「東京にもカントリーサイドはあるでしょ」と言われ、場所も変更することになりました。
そこで以前候補地として考えていた清里に決定。でも折角日本に来るのですから北欧からの参加者のために東京でレクチャーと東京見物、清里で日本人参加者と合流してワークショップ、という構成にしました。レクチャーとワークショップ内容はこの2年間悩んだ末の決定です。去年の秋から何度か野中真理子さんが一時帰国して、二人でお互いのネットワークを駆使して少しずつ形を整えました。経済状況が急に悪くなった中、海外から52名(北欧4カ国、エストニア、アメリカ、韓国の国々から)の参加があったのは嬉しいことでした。5月からは準備に掛かり切りとなり、毎朝参加者からのメールと格闘。「日本でカードは使える?」「京都から成田へはどうやって行くの?」「毛糸屋さんを教えて」「東京に2日早く行きたいのでホテルを宜しく」等々。複雑な内容のメールは野中さんに転送。野中さんは私のメールを見つけてトホホ、という日々を乗り越え?開催にこぎつける事ができました。中でも苦労したのはスカンジナビア・ニッポン・ササカワ財団の助成金申請でしたが、お陰でファンドを頂く事ができました。クロバーさんには日本開催が決定したときから、協力のお願いをして来ていました。

 
教えあいながらの講習。真剣です!

教えあいながらの講習。真剣です!

今回のシンポジウムは7月号のメルマガにあるように皆様のお陰で無事終える事ができました。海外からの参加者達は日本の手仕事や文化にも満足して帰国したようで、「今まで楽しませてくれたお礼に皆に楽しかったと言ってもらいたい」という私の開催目的は概ね達成できたと思っています。日本人参加者の方々にはシンポジウムの自由な雰囲気を楽しんでもらいたいと考えていましたがこれも概ね達成できたのではないでしょうか。この思いは野中さんも同じで、彼女との二人三脚がなければできなかったことと感謝しています。

 
あみものしながらお話を聞きます。

あみものしながらお話を聞きます。

カラフルな毛糸が素敵な講習風景。

カラフルな毛糸が素敵な講習風景。


 

 

シンポジウムではこの9年間様々な楽しい編物に出会い、上記の本以外に「北欧ワンダーニット」「北欧ミラクルニット」「もっともっとドミノ編み」「あったかニットで冬じたく」を出版してきましたがこの秋にはエストニアで習って来たレース編みの本を出版予定です。シンポジウム準備中の4月末、8日間でしたがエストニアに出かけてインストラクターからレーステクニックを習い、それを所蔵しているミュージアムにも行ってきました。knit はこれからも私に色々なつながりをもたらしてくれそうです。

新刊出版記念の個展を開催します。期日は11月か1月か未だ決まっていませんが決まったら私のブログに載せる予定です。

ブログ「林ことみのNordic Knitting Laboratory」

http://knitstrik.exblog.jp/


東京スピニングパーティーで北欧ニッティング・シンポジウムの報告と新刊に関してのレクチャーをします。詳しくは下記のサイトをご覧下さい。

東京スピニングパーティー

http://spinningparty.blog121.fc2.com/
エストニアで習ったレースの作品。文化出版局から刊行予定。
エストニアで習ったレースの作品。
文化出版局から刊行予定。
 
毛糸だま 秋号

毛糸だま 秋号

林ことみさんの連載「林ことみの北欧の編み物」が日本ヴォーグ社「毛糸だま秋号」(8/25発売)で始まりました。第1回のテーマは「ノルウェーで出会ったアフガン編み」です。クロバーのダブルフックアフガン針ができるキッカケになったお話です。おかげでたくさんのお客様にダブルフックアフガンを楽しんでいただけ、クロバーもニット(つながり)の輪にいるのだな〜と感じました。今後もこの連載で、北欧のいろいろな技法が紹介されますのでお楽しみに。

「毛糸だま 秋号」では、編みごたえのありそうな「秋の定番。北欧、英国の編み込みニット」や、秋のおでかけに活躍しそうな「マイオータムニット」などの作品の他に、「サンカ手袋の故郷を訪ねて」や「アリゾナから愛を込めて」などの連載も充実。ぜひご覧ください。